すでにTwitterやFacebookではぽろぽろと書いていますが、このたび『ゆううつ部!』という本で表紙&本文イラストを描かせて頂く機会に恵まれました。
『ゆううつ部!』著:東藤泰宏(ポプラ社) 6月12日発売
うつ病まっただ中の著者が、なんとか回復して社会生活を送っているうつの先輩方に実体験を聞いてまわるというインタビュー集です。
この病気をテーマにした本は数多くありますが、この本は「普通の人がうつになって、回復するまでの経緯が9人分も収録されている」「インタビュアーがうつの当事者」というところがけっこう珍しいんじゃないかと思います。
詳しい内容は上記Amazonへのリンクにゆずるとして、私から見た著者の東藤さんについて、前々から書いてみたいと思っていたことを少し語らせて下さい。
東藤さんとはじめてお会いしたのは、2年前の夏です。SNSを通じて私のブログを見たのがきっかけで、U2plusというウェブサービスのためにイラストを描いてくれないか、というお話が最初でした。
その時にサービス立ち上げの経緯を聞いて、こりゃえらいことぶっとんだ人だなぁというのが第一印象。だってうつ病まっさかりでほとんど起き上がることすらできないのに、「うつ病の人が働ける会社がないなら自分で作る!」って言ってビジネスコンペで勝って会社まで立ち上げちゃうんだよ?しんどいのに、なぜそこまで?と思うじゃないですか。
その時ふと感じたのは「ああ、この人はとにかく怒っているんだ」ということ。
うつは風邪みたいに誰でもかかる可能性のある病気だと言われている。でも、風邪みたいにすぐ治る病気じゃない。何年も、あるいは一生付き合っていかないといけない。にも関わらず、発症してしまうと今の社会では普通に生活して普通に働いていくことすら難しい。誰でもなる可能性があるのだから、本人が悪いわけじゃない。それなのに、普通の生活すら送れないなんて、おかしいじゃないか!そんな世の中、間違っているじゃないか!
そんな「怒り」です。そして「だったら俺は徹底的にあがいてやる!」という抵抗の結果が『U2plus』なんだなと。その印象は今も変わっていません。
今回の『ゆううつ部!』も、そんなレジスタンスのひとつです。
だから一見やさしい印象の本ですが、根底に流れているのはロックの精神なのです。私は昔からロックな人が大好きなので、今回のお話があった時はふたつ返事で引き受けました。
この「うつ」という大きな問題に対して、反撃としてはあまりに弱々しいものかもしれません。でも何もしないよりはずっといいし、誰かひとりでもこれを読んで心がほんの少し軽くなったという人がいれば、意味のあることなんじゃないかと思います。
東藤さんが熱い男なので、私も引きずられて少々熱くなりました。
自分自身がうつではないけど、身近な人がそうだという人(私もそうです)にとっても、ヒントになることがいろいろあります。もし本屋さんでみかけたらぜひ手にとってみて下さい。