2015/1/27

趣味というのは、それに興味のない人にとってはなかなかに理解しがたいものだと思う。

たとえば筆記具。今は安くても書き心地のいいボールペンがいくらでもあるわけだ。ノックひとつですぐ書けて、メンテナンスフリー。

それを万年筆だとどうだ、まず書こうと思っても何回もキャップをひねらんと開け閉めできない。ボールペンなら何十本も買えるほど高い。洗浄やらインクの補充やら、手入れにも手間がかかる。あげていけば面倒はきりがない。

我々はそれに対して「いやこの書くまでにひと呼吸おく間がいいのよ…」「消耗品と違って一生モノだから…」「こうやって手入れしていると愛着が湧いていいんだ…」などと理屈をこねるわけだが、結局は万年筆が好きなのである。好きだから面倒でも楽しいし、そんな状態の人にはあなたが何を言っても無駄なのだ。趣味というのはそういうものではないかと思う。

だって、私からみれば登山は山伏の修行だし、一眼レフを持ち歩くのはウェイトトレーニングだし、万が一にでもゴルフなんぞに連れて行かれた日にはゴルゴダの丘を登るキリストもかくありなんという心境に至る自信がある。

しかし、それをやっている人は好きで楽しいからやっているわけで。趣味とはなんだかんだいって、「楽しい苦労」と同義なのだ。

よって、私が万年筆をこねくりまわしながらひとりでニヤニヤしていたとしても、あなたは何も言わずにそっと見守っていて欲しいのである。