2014/12/20

千葉市美術館まで、「赤瀬川原平の芸術原論展」を見に行ってきた。(※現在、会期はすでに終了しています)

我々のように「日常の中の非日常」をテーマにしている人間からすると避けて通れない人物なので、もちろん存在は知っているが、まとまった展示を見るのは今回がはじめて。

いやぁーすごかった。

最初期から晩年までの活動が網羅的に取り上げられているので、まずボリュームがすごい。そして、表現のジャンルの幅広さがすごい。絵画に立体作品にパフォーマンスに漫画に文筆に写真、とそれぞれの分野で普通の人の一生分ぐらいの仕事をしているんじゃないかという勢い。

そんな数ある展示物の中に、使い終わってちびた鉛筆を溜めた瓶が展示してあって、作家が動かした手の距離を思ってクラクラした。作品として目に見えるものの何倍も動いてるんだよなぁ。そりゃ勝てないわ。

そんなわけで、赤瀬川原平よりもはるかに凡人の私が自分の意思でコントロールできるのは結局やるかやらないかに尽きるのね、と打ちのめされて帰ってきたのでした。

余談だけど、赤瀬川原平に関しては「千円札裁判」がほんと好きで、考えれば考えるほど面白くて思い出すたびに笑ってしまう。生涯にわたってパロディーを得意とした人だけに、あれも「表現の自由のために闘う芸術家」の壮大なパロディなんだよね。

裁判という国家権力の場を利用して、弾圧されているはずの芸術家が自由に表現し、弾圧しているはずの側が自らの枠に縛られて自由を失っているという。もう、その時の裁判官や検察官がどんなに苦虫を噛み潰したような顔をしていたかと想像するとたまらなくおかしい。まったく、天才的なセンスだ。

本当に、同じ時代に生きていたらもっと面白かっただろうなぁ。早すぎる死が惜しまれます。