料理は好きか?と聞かれれば、「まあ、嫌いでもないけど…」と答えるだろう。

曖昧な返事しかできないのは、「料理」とひと口に言っても、それが多種多様な作業工程の総体を示す言葉だからである。

たとえば、人によっては煮るのは得意だが揚げるのは苦手だ、という人もいるだろう。野菜の皮むきは好きだがみじん切りはめんどくさいとか、炒めるのはテンションが上がるが焼き魚は成功した試しがない、とか。つまり、「料理」という大きなくくりには、自分が好きなことも嫌いなことも、得意なことも苦手なことも包括されている。

ここで重要なのは、「料理」における大体の作業工程が好きだったとしても、ひとつ嫌いなプロセスが挟まるだけで、とたんにモチベーションが下がってしまうこともある、という点だ。

私にとってのそれは、「生肉・生魚を触ること」だ。いや、触るだけなら問題ない。だが、それによって作業が分断されてしまうのがイヤなのである。だって、一度でもあいつらを触ったら、他のものを手にとる前に絶対に手を洗わないといけないだろう?おなか弱いから、食中毒とか心配だし。しかしまぁ、肉の脂や魚のヌメヌメってなかなか落ちないし、冬は手荒れも心配だ。

ほんと、コレさえなければなぁ…と思っていたところに、いつか買おうと思っていたアレを、ついに買ったのだ。オークス株式会社の、「ゆびさきトング」である。料理好きの諸氏におかれましては「今さら⁈」という向きもあろうが、イイものはイイし、私にとっては今だったんだから仕方ない。

こちらのトングは、やや短めで先端が少し尖っていて、まさに、自分の「指先」の延長として使える操作性の良さが最大の特徴。薄切りのしゃぶしゃぶ肉なんかは、菜箸よりもむしろ取りやすいくらいである。

これがあると、生肉や生魚をパックから取り出す、まな板の上ではトングで押さえながら包丁で切る、ボウルの中で調味料と和える、なんてことがとってもスムーズ!何しろ、各工程の間に挟まる「調味料出さなきゃ」「調理器具出さなきゃ」の時に手を洗わずに済むのだから。しかもこのトング、クルッとひっくり返せば先端が上を向くので、汚れた部分を調理台やまな板につけずにちょっと置いておく、ということもできる。自分の手だとこうはいかないだろう。

メーカーのWebサイトでは、トンカツなど熱いものを切りわけるときにも便利、とあって納得。見栄えもスッキリしているので、2人以上で食卓を囲む場合には、取り分け用のトングとして出してもよさそうだ。

あえて難点を挙げるとすれば、短いので火を使った調理には向かない、尖っているのでテフロンのフライパンなどは傷がつきそう、というところだが、そこは素直に従来どおりの長めのトングを使えばイイじゃんね、と思っている。洗い物が増える、という点もにおいても、ステンレスの一枚板なので、「自分の手よりは洗いやすい」ってことで圧勝。

というわけで、「いつか買おうと思っているものは今すぐ買え。その方が長く使えるから」という自らの名言(迷言?)をまたしても自ら実証してしまった。ゆびさきトング、自信を持って人様にオススメできる調理器具である。