2014/10/18

この日は、有隣堂さん主催のイベント「文房具×ビブリオバトル in お台場 ~文房具好きは本も語る〜」に出演しました。

ビブリオバトルをざっくり説明すると、テーマに沿って自分がおススメしたい本を5分間のトークでプレゼンし、最後にみんなで投票して最も読みたくなった本=チャンプ本を決める、という遊びです。

私は『ドイツ道具の旅』(著:佐貫亦男、光人社、初版1985年)という本を紹介しました。

30年近く前の本ですが、もともと航空機のプロペラを設計していたという著者のエンジニアとしての視点と、人間心理に対する鋭い洞察に満ちていて、今読んでも楽しめます。

この手の本は「なんかドイツっていいよね〜、なんかこの道具ステキだよね〜」みたいな感じで終わりがちだけど、「この設計はどういう仕組みなのか」「なんでこんな仕組みにしたのか」「こんな仕組みを採用したがるドイツ人ってなんだ」という風にどこまでも踏み込んでいくのが『ドイツ道具の旅』の特徴。

それがまた終始ドイツ人への愛とユーモアのあふれる文句がちりばめられていて、特に道具の本なのに「ドイツ料理がまずい」という話が6ページにもわたって書かれているところは声を出して笑ってしまうほど。(余談だが、続編『ドイツ道具の旅 PART2』ではドイツ料理がまずいパートが1章まるまるに拡大しているので、興味のある方はそちらも読んでみることをおススメします)

私もこんなブログをやっているわけですが、こういう視点で物事をみるようになったきっかけのひとつはこの本かなと思ってます。

残念ながらチャンプ本こそ逃したものの、共に登壇したバトラーの皆さんがこぞって投票してくれたのでじゅうぶん満足。よき本との出会いに、そしてそれを私にもたらしてくれた父に感謝。そしてこんなどこの馬の骨とも知れない人間をステージにあげてくれた有隣堂さん、見に来てくれたお客さん、ありがとう。

見逃しちゃったー!という方は、有隣堂さんの開催レポート、またはカルカルのUstreamをどうぞ。本書は残念ながら絶版ですが、図書館や古本では比較的容易に入手可能なのでそちらもぜひ。