Inktoberというネット上のイベントがある。

“ink(インク)”と”October(10月)”を掛け合わせた言葉で、10月の1日から31日まで、毎日1枚絵を描いてネットにアップしよう!という企画である。2009年にアメリカのJake Parkerさんというイラストレーターの方が発案し、今や世界中の人が参加する一大イベントに成長している。

公式サイトもある。

「インク」と言いつつ、技法は基本的に自由。描く枚数も自由だけど、趣旨としては「なるべく毎日手を動かそう」「人に見てもらって画力向上につなげよう」ということである。テーマも個人に任されているが、使ってもいいよという公式の「お題」もある。

私は去年からInktoberに参加していて、その時は「ほぼ日手帳に1日1枚ペンのスケッチを描く」というのをやっていた(動画にまとめたやつはこんな感じ)。今年は忙しいしネタもないし無理かな、と思っていたのだが、去年やったのがスキルアップという意味では本当にいいチャレンジだったので、今年もいけるところまでやってみよう!そしてあえて自分の得意分野から外れたことをやってみよう!と考え直し、公式のお題に沿って31枚描く、というのに挑戦してみた。

結果として、なんとか完走することはできたけど、すっっっっごく大変だった…!だが大変だったということは、裏を返せばチャレンジとしてとても価値があった、ということでもある。

私は元々、説明のための「カット」は描けても「1枚絵」が描けない、というコンプレックスがあった。専業のイラストレーターになる道を諦めたのもその辺りが所以である。「1枚絵」というのは要するに、単体で本の表紙になったり額に入れて飾られたりしても成立する、「絵だけで表現が成立しかつ鑑賞価値がある作品」のこと。これがどうにも描けない。どう手をつけていいのかもわからない。

実はそれで、「文房具の解剖図鑑」という本の仕事をさせてもらった時も、各章の扉絵でめちゃくちゃ苦労したのである。その時は「イラストの中に文章も入れて欲しい」というリクエストがあってどうにか成立させられたのだが、まだ「1枚絵」としては掴みきれてないな、と少しモヤモヤしたものが自分の中に残っていた。そのモヤモヤと向き合う、いい機会だと思ったのだ。

「お題に沿って1枚絵を描く」というのは、いちばん苦手でいちばん避けてきたことだったから、やり始めたら案の定めちゃくちゃ後悔するほどキツかった。でも1ヶ月続けた結果、少し自分なりのやり方というか、手応えみたいなものが掴めてきた気がする。正直、見返すと、もう少しやりようがあったろ…と恥ずかしく思う日もなくはないが、やはり「人に見られる」という過程を経なければ全ての表現は上手くなりようがないので、せっかくなのでここにもまとめておこうと思う。

来年も、できれば挑戦したいな。