昨年「10月(October)に毎日1枚絵を描こう(ink)」「そしてWebにアップしよう」という、世界的なネットの流行り「inktober」にのっかった時のこと。

私は普段使っているほぼ日手帳が1日1ページであることを活かし、手帳のその日のページに文房具(主にペン)の絵を描いてアップする、というテーマでやっていた。

なんとか1ヶ月乗り切って、ふぅと一息ついていたところ、日経BP社の方から突然連絡がきて、「ほぼ日の本があるので読んでみませんか?」とおっしゃる。ので、これも何かの縁だと思って送って頂いたのが、「すいません、ほぼ日の経営。」である。他にやることや読むものがいっぱいあってしばらく積ん読していたが、このほどようやく読み終わった。

正直、ほぼ日が上場したのはうっすら知っていたけど〜という程度の知識しか持ち合わせていなかったので、へぇ〜そうだったのか、と思うことが多くてなかなかおもしろかった。

個人的にいいな、と思ったのは、「いいか悪いか」よりも「好きか嫌いか」を突き詰める、というところ。

糸井 「いい」「悪い」で判断するようになると、みんながどんどん同じになります。なぜかというと、「悪い」より「いい」を選ぶからです。だから、「いい」「悪い」で判断しなくていいんです。

「好き」と言っているものは、やっぱりどこかに魅力の分量がたっぷりとあります。

ただ、簡単に「好き」「嫌い」を決めるのではなく、「じぶんがなにを好きと言っているのか」ということを、ものすごく考えることが大切です。

どうも「仕事をしていると最短距離の正解」を求められることが多いのだけれど、果たしてそれでいいのかな、とモヤモヤしてい部分をうまく表現してくれていると思う。

正しさと魅力って、必ずしもイコールではないというか。会社の仕事って、みんながみんな、みんなのためにって思ってガマンした結果、誰も幸せじゃないみたいな状況におちいることが、わりとよくある。

「いいと悪い」の対立は、必ず「悪い」になってしまった側が「いい」に責められる感じになって息が詰まるけれど、「好きと嫌い」なら、「これは嫌い」ってなっても、「でもこういうのなら好き」と広がっていく可能性みたいなものを感じる。

「会社ってのはこういうもんだ」「仕事ってのはこういうもんだ」という無意識に思い込んでいることに対して、「待てよほんとにそうかしら」とフラットに考え直すきっかけになるような本だった。