くずし将棋をやるときぐらいしか、将棋の駒にも将棋盤にも触ったことはない。駒の種類によって動き方に決まりがあって、王を取られたら負け、という程度にしか、将棋のルールも知らない。それなのに、毎週のように「将棋フォーカス」(日曜朝10時〜10時半、Eテレで放送中の将棋番組)を見ている。

元々は、同じチャンネルで9時から放送の「日曜美術館」を見るのが習慣だったのだ。それがいつのまにか「将棋フォーカス」に、そしてなんならその後のNHK杯の枠にまで延長されている。将棋のルールも知らないというのに。

自分でも何がおもしろいのか疑問だったが、ある時ふと気づいたのだ。私は別に将棋が好きなわけではない。将棋をやっている人、即ち棋士が好きなのではないか、と。

よく、「好きなタイプを有名人でいうと?」みたいな質問があるだろう。あれで想定されるところの「有名人」って、大体がアイドルとか俳優とか芸人とかの「芸能人」のことだ。拡大しても、アナウンサーとかスポーツ選手まで。メディアに登場することが彼らの仕事で、メディアで見る=有名ということだから、当然といえば当然なのだけど。

だけど私は、メディアに登場することを仕事にしよう、と思うような人がタイプではないのだ。たぶん。誤解がないように言っておくが、テレビや映画を見るのは好きだし、いちファンとして好きな人はたくさんいる。だけど、「好きなタイプ」という括りに入るかというと、ちょっと違うよなぁと思うのだ。我ながら「合コンに来るような人ってタイプじゃないんだよね〜」を言い訳に合コンに行きたがらないオタクのようで腹が立つが、事実そうなのだ。

しかし、婚活などをする上において、そんなぼんやりしたことを言っていてはラチがあかない。友達に「こういう人を紹介して!」と伝えた時に「あ〜」と共感を得られる程度にはターゲットを明確にしなければリーチは得られない。マーケティングの基本である。

そんな折に「将棋フォーカス」をぼんやりと見ていて、私のタイプは「棋士っぽい人」なんじゃないか、という考えに辿り着いたのだ。

じゃあ、「棋士っぽさ」って何よ?をもう少し具体的にすると、次のようなことではないかと思う。(※あくまでも私の勝手なイメージなので、特定の誰かのことを示しているわけではない)

・インドア派っぽい(自分自身が超インドア派なので、アウトドアっぽい人は苦手)
・頭がいい(高度な頭脳スポーツである将棋でプロになるほどの人なんだぞ)
・話がおもしろい(後輩の指導やファンイベント等、意外と人前で話す機会が多い)
・やるときはやる(普段ニコニコでも対局時にはガラッと勝負師の顔に)
・メガネ率が高い(完全なる偏見と個人的な好み)
・手の所作がキレイ(こんなに手もとが放映される職業も他にないのではないか)

というわけで、もう30も半ばを過ぎたらそうそう好きなタイプなんて聞かれる機会はないけれど、万が一聞かれたら積極的に「棋士っぽい人」と答えていきたい。

余談だが、「将棋フォーカス」を毎週見ていたら将棋のルールがわかるようになるかというと、まったくそんなことはなく、未だにルールは皆目わからないままだ。でもたぶん、これからも見ると思う。