もともとインドア派ではあったけれど、昨年からますます家で過ごすことが中心の生活になって、モノを選ぶときの基準が結構変わったな、と思う。

服に関していえば、自分で思っていた以上に、人からどう見られるか、が選択に影響を及ぼしていたことを実感している。今となっては、人からどう見られるかという軸は限りなく遠ざかり、残ったのは「自分にとって心地いいか」ということ。

「心地よさ」にもいくつかの要素があって、ひとつはもちろん着心地のよさ。あとは、家でゴロゴロしてもシワや毛玉になりにくいとか、洗濯機でガシガシ洗えるとか、そういうメンテナンス性の高さ。でも、ラクなだけではやっぱりちょっと足りなくて、ずっと着ているからこそ、ふとした瞬間にもそれを着ている自分のことが好き、いい感じ、と思える見た目のよさも欲しいと思うのである。

今までだったら、よそ行きはちょっと着心地やメンテナンス性が悪くても見た目がいい感じのものを、家では多少見た目を犠牲にしてでも、ラクでメンテナンス性のいいものを、と無意識に役割を振り分けていたのが、ひとつで全部を叶えるてくれるものが欲しくなっている。

というわけで、ここ1年でワードローブの中身もかなり入れ替わったのだが、その中でもこれは買ってよかったな〜と思っているお気に入りを紹介したい。

mei(メイ)のパッカブルプリーツスカート
アウトドアブランドmeiが作ったスカートというだけあって、めちゃくちゃ薄くて軽い。何も着ていないみたいにラク。そして全然シワにならない!さすがはパッカブルである。プリーツスカートは扱いに気を使うことが多いが、これは引き出しに適当に詰め込んでおいても出したらすぐに着られるので便利。洗って干してもすぐ乾く。小さくたためるので場所を取らない、といいことづくめである。

身長150cmの私が着て、くるぶしくらいのロング丈。ロングスカートは低身長だと似合わないことが多いのだが、これは軽い素材感とプリーツのおかげか、長くてもバランスがよく見える。トップスをインで着ると上半身がコンパクトにまとまり足長効果もある。

唯一の難点は静電気が起きやすいところ。静電気スプレー等の対策は必須だが、逆に言えば対策さえすれば気にならないレベルである。

うなぎの寝床のmonpe(もんぺ)
福岡の地域文化社うなぎの寝床が作る、現代風にアレンジされたもんぺ。「もんぺは日本のジーンズ」というキャッチコピーに興味をひかれ、試しに買ってみたらとても気に入ってしまい、数日後には色違い(長野にあるショップわざわざとのコラボモデル)でもう1本注文してしまったほど。

ジーンズがもともと労働着だったことはよく知られているが、日本で親しまれてきた労働着といえばもんぺである。ジーンズが現代的に洗練されてファッションになったように、もんぺも現代的にアレンジしてみてはどうか?という提案にはなるほどと思わされた。

いわゆる昔ながらのもんぺと違うのは、足首にかけて細くなるテーパードシルエット。これが日本人体型にしっくりなじんで、なんかいい感じに見えるのだ。それでいて、腰回りから膝にかけてはゆったりしているので、動きやすく、履いていてとにかく気持ちがいい。このままパジャマにできるぐらいの着心地の良さである。

私はジーンズも大好きだが、日本の夏に着るにはちょっと暑い。一度濡れると乾きにくいので、洗濯にも気合がいる。その点、綿100%で薄手素材のもんぺは、汗をかいても張りつかずさらっとした着心地。夜に洗濯して干しても、朝には乾いている。日本の気候風土にもマッチした服なのだ。もう最近は気がつくとこればかり履いていて、真冬以外はずっともんぺでもいいかなという気になっている。

melple(メイプル)のパイルボレロ
トップスで気に入っているのは、melpeのパイルボレロ。パイルという名前のとおり、表面がタオルみたいになっている(内側はパイルなしのガーゼみたいな感じ)。形はカーディガンだが、ボタンがないボレロタイプ。これがなんていうか、今までに感じたことのない着心地。例えるなら、プール上がりに陽だまりの中でタオルケットにくるまっているような心地よさなのだ。

パイル生地だから適当にバッグに突っ込んでもしわくちゃにならないし、夏の冷房避けとして手放せないアイテムである。メンズサイズしかないのが難点。Sサイズでも私が着ると尻がかくれるくらいなので、ロングカーディガンのつもりでいる。袖口にゴムが入っていて、腕まくりしても落ちてこないし、そんなに変ではないと思う。

NIKE(ナイキ)のエア リフト ブリーズ
個人的な話だが、私は靴下がキライだ。なので、家にいるときは厳冬期をのぞいて基本的には裸足である。しかし、ステイホーム生活といえど、食料品や日用品の買い出しで外出の機会はちょこちょこある。1回30分程度の外出のために靴下をはいて、それを洗濯するのはなんかイヤだ。かといって、サンダルで出かけるのは、(いくらご近所といえど)真夏以外は微妙。サンダルのようでいてサンダルでない、そんな靴はないものか。

と、探していたらあった。NIKEの足袋スニーカーこと、エア リフト ブリーズである。個性的な見た目だが、履くと案外なじんで目立たない。ウォーキングがてらにさんざん歩き回っても、全然足が疲れないすぐれものである。

靴下を履いた状態でも履けなくはないが、やっぱり違和感はあるので、靴下と一緒に履きたい人は足袋ソックスか5本指ソックスみたいなやつのほうがよさそう。私は裸足で履くために買ったから常に裸足で履いてるけど。

環境が変われば、自分も変わる。自分が変われば、モノを選ぶ基準も変わる。いろいろ変化があって大変な時ではあるけれど、自分の根っこの価値観を見直したり、それに合わせて身の回りのものを改めて選んだり整えたりするのは、モノを愛する人間にとっては楽しみでもある。物事にはなんでもいい面と悪い面があるが、なるべくならいい面を見ながら生きていきたいものだ。